自宅から歩いて数分のところに、「池」というには小さすぎる、浅い水たまりのひろがっている小さな湿地帯があって、3月はじめになると、そこにたくさんのヒキガエルが産卵のために集まってくる。
ヒキガエルが産卵場所としていつからそこを使い始めたのかはわからないが、いつも冷たい湧き水に満たされたその場所は、植林にも適さない、人間にとってはなかなか使い道のない場所のようだった。
数年前(その年は2月の末だったが)夕方近くその横を通ると、聞きなれない、弦をはじくような小さな音が聞こえてきたので、そちらのほうに行ってみると‥二匹に重なったヒキガエルが水たまりの中のあちこちに広がっている。その数はかなりのものだった。20から30匹はいただろうか。(もっと多いかもしれない)そのときはほとんど動いていないように見えたが、実は下になったメスのヒキガエルが産卵していたのだ。
ヒキガエルが大量に集まるのはほんの短い間で、あとには大量の卵が残される。
この卵が孵ってオタマジャクシになり、そのあと前肢と後肢が生えて小さな子どものカエルなって、あちこちに散ってゆく。
そして、3~4年後に大人のヒキガエルになって戻ってくるのだが、大人になって戻ってくるカエルは本当にわずかしかいない。
自宅の前でも、この湿地生まれと思われるヒキガエルにときどき出会うことがある。
こんな姿があちこちに(抱接というそうです)
場所によってはヒキガエルが折り重なって団子状態に‥
水たまりいっぱいに産卵されたヒキガエルの卵
産卵から1ヶ月少々がたち、オタマジャクシは1センチ余りに成長した